どこもかしこもAIの話題で持ちきりですね!

Stable DiffusionやMidjourneyといった画像生成系のAIが、イラストや映像制作の現場をガラッと変えてしまうのではないかという意見も見受けられます。確かに生成されるデザインのクオリティは非常に高く、これは時代が変わる!という気持ちになるのもうなづけます。

今回はGenerativeAIが、デザイン制作の現場でどう活用したらいいのかを見ていきます。

 

 

OEMの現場ではImage to Imageがすごい

GeneraticeAIにはプロンプトと呼ばれるテキストからコンテンツを生成するText to Image と、元となる画像からコンテンツを生成するImage to Image (picture to picture) が存在します。

OEMの現場では、仕事の進め方として、クライアントから希望のデザインをいくつか提出いただき、それをもとにデザインして提案することがあります。

全くのゼロから創造するというよりかは、既にあるものを改変してブラッシュアップする業務となりますが、ここでImage to Imageが計り知れないパワーを発揮しました。

 

画像からデザインを生成してみる

テストとして、こちらの画像をもとにデザインを生成してみました。

 

 

生成された結果がこちらです。

デザインをもとに、複数パターン生成してくれました。結構いい感じではないですか・・・!

画像を選択してアップするだけで一瞬で4枚ものデザインが生成されてしまいました。しかも元となった画像の要素をしっかりと引き継いでいて、極端に外れたものはありません。

 

デザイン案制作の大幅な時間削減

画像をアップしてからわずか数秒でデザイン案が4つもできてしまいました。人間がデザインするとしたら、何時間かかっていたことでしょう。確かに最終的な調整は人力でこなしていかなければなりませんが、それでも方向性の確認をするには十分なクオリティではないでしょうか。

 

「これをもとにもっといい感じに」に最適

OEMの現場ではゼロから生成するよりも、元となるイメージが存在するケースが多い分、GenerativeAIは大いに活用余地があるのではと思います。ある程度の構想が決まっているのであれば、あとはスケッチなりを作成して入れるだけで複数デザインを生成してくれるので、工数の大幅な削減が期待できます。

 

 

0からプロンプトでデザイン生成

それでは全くの企画段階からジュエリーのデザインを生成していきます。

 

gold ring. small blue stone. Europa

ヨーロッパっぽいデザインを作成してもらおうと、こちらのプロンプトを入力してみました。

 

 

うーん。。。正直微妙ですが、プロンプトが悪いせいかもしれません。

今度は企画ものを取り入れてデザインを生成してみます。

 

 

gold.ring. tiffany.nike.

ティファニーとナイキがコラボしたデザインを作成したくてやってみました。

 

 

うーん、、、確かにティファニーっぽさはありますが、ナイキ要素はありませんね・・。

 

試しにスニーカーで生成してみました

ひょっとするとリングがダメなのでは?ということで、以下のプロンプトでスニーカーの画像を生成してみました。

 

sneaker. tiffany.nike.collaboration.

 

結果は以下の通り。

 

 

なんだかめちゃくちゃいい感じですね・・・。

ひょっとするとリングをベースにした学習モデルがあまり精度が高くない状態なのかもしれません。確かにリングのデザインデータって結構ニッチですし、Stable Diffusionのモデルではまだなさそうです。

 

 

感想:

感覚としては一人のデザイナーがアシスタントとしてついてくれているイメージでした。

「こんな感じのデザインを作りたいんだけど、これをベースにいくつかデザイン案を作ってくれますか?」というオファーを依頼すれば、その通りにいくつもデザインを作成してきてくれる優秀なアシスタント。

 

通常であればデザイン生成に何時間も、場合によっては数日かかることもありますが、GenerativeAIは瞬時に画像を生成してくれるので、仕事の速度感は間違いなく速くなると思います。

 

 

制作可能かどうかは別。ただし独自モデルを作ればいけるはず

学習モデルが非常に広範囲であるように思いますので、生成されたデザインが必ずしも実際のものづくりで形にできるとは限りません。そこの調整は間違いなく必要になるでしょう。

しかしながら、実際にものづくり可能なデザインデータを学習させたモデルであれば、おそらくその範疇を異常に超えたデザインを生成してくることはないかと思いますので、結果的に製造可能なデザインが生成されることになるでしょう。

 

独自のモデルを構成する場合、例えば時系列的なトレンドや地域性、ターゲット層に合わせたデザインを学習させていけば、特定の地域の特定のトレンドに合致したデザインを簡単に生成できるようになるかもしれません。

そうなればデザインの生成速度や企画速度が格段に上がり、企画を行う本人自身で大枠のデザインを制作できるようになるかもしれません。

 

 

デザイナー不足を補うかもしれない

GenerativeAIはまだ完璧ではないにしろ、ある程度のデザインを生成できる可能性を秘めており、ジュエリー業界のデザイナー不足問題を解決してくれるかもしれません。

日々変わるトレンドに追いつき、追い越していくにはスピード感あるデザイン制作が求められますが、やはり人が行う以上、スピードにも量には限界があります。GnerativeAIを活用することによって、デザインパワー不足を補い、ひょっとしたら、誰でもすごいジュエリーデザインアシスタントを持って、ジュエリーの仕事ができるようになるかもしれません。

 

ENCODEでは実際の提案の現場で、既にGenerativeAIを活用し、日々の提案に役立てています。今後は独自モデルの学習、そしてそれに基づいたデザイン生成アプリケーションの開発に取り組んで参ります。

宝飾業界をテクノロジーで変革する。これからもぜひブログ読んでみてください!