テキストを入力すると、その指示に従って画像や動画を生成してくれるGeneratice AIが話題です。最近ではStable Diffusionを使ってリングのデザインを生成して遊んでみましたが、大変面白かったです。

AIにリングのデザインを描かせてみた結果 Stable Diffusion 使い方

 

Generative AIと3Dプリンターが実現する未来

ENCODEはガッツリもの作りの世界に身を置いている会社ですので、今回はこのGenerative AIと3Dプリンターを使用することで実現できる未来の話を書いていきたいと思います。

 

3Dモデルを自動生成

Generative AIは2023年4月現在では、画像や動画といった2Dのコンテンツ生成にとどまっておりますが、一部の研究では、3Dモデルを生成するモデルの研究も公開されています。

 

こうした研究が進み、例えばテキストから3Dモデルが自動生成されるようになったらどうでしょう。

  • 自分が欲しいジュエリーのデザインのプロンプトを送る
  • AIがそれにあったデザインを生成し、3Dモデルで複数表示する
  • ARで試着

このような、まるでSFの全くあたらしい体験が可能となります。

これまでのように、最適なデザインを世界中のネットワークから探してくる検索のアプローチではなく、世の中に存在しないデザインをお客様のニーズに沿った形で0から生成するのです。

生成した3Dモデルはハンドトラッキングを活用したアプリケーションで、その場でAR試着することができますので、画面の中だけでなく、リアルと融合した形で試着することができます。

 

3Dプリンターで造形

完成したデザインをお客様が気に入れば、データが3Dプリンターに送られて造形が開始されます。光造形3Dプリンターの造形速度は今の所、ワックス樹脂で1時間から2時間ほどですので、コーヒーを飲んでいる間に完成。

実際に形となったリングを手に取って、形状を確認。もし修正したい点があれば、AIに再度修正点を伝えてデザインを改善してもらい、自分の望み通りのデザインになるまで追い込んでいきます。

最終的に満足が行くものが完成すれば、鋳造、仕上げをおこなって完成です。

 

在庫ゼロのマスカスタマイズ

1点ものを大量に生成する仕組みが整備されれば、在庫という概念がジュエリーの世界から消滅します。

AIがデザインを生成し、3Dモデルが3Dプリンターへ送られ、即日造形を開始。翌日には鋳造が完了し、仕上げをおこなって納品される。これまでのような量産体制は不要となり、全てがオンデマンドで製造されるようになります。

在庫管理よりも、1点ものをより効率的に管理、発送するためのオペレーションにより価値が見出されるようになるでしょう。

 

 

カスタマイズ品が即日入手できるマスカスタマイズ2.0の世界

現在の製造方法では、ワックス樹脂を用いたロストワックス法の生産方式がもっとも精度が高く、美しいジュエリーを制作することができるのですが、将来は金属3Dプリンターも現場で活用されるようになるのではと考えております。

 

金属3Dプリンタによる即日造形

シルバーや18Kといった貴金属を粉末として使用し、3Dプリンターでジュエリーを直接プリントしてしまおうというアプローチも非常に面白いと思っております。

ジュエリーにおける世界の金属3Dプリンターの動向については以下で書きました。

 

ジュエリーを貴金属で直接3Dプリント。ジュエリーにおける金属3Dプリンターの活用について

 

2023年現在では、造形後、焼結をさせるプロセスが入ってしまうため、焼結と後加工で2日ほど発生してしまうのですが、効率化と精度が進化することにより、このリードタイムも退縮されるのではと考えております。

AIで3Dモデルを生成。金属3Dプリンターで造形、即日お渡し。

そんな世界も遅かれ早かれ訪れるようになるでしょう。

 

 

UIが極限までシンプルに。ECの概念が変わる

Generative AIを用いたお買い物体験はこれまでとは全く異なる視点が必要になるでしょう。

お客様は自分が欲しいデザインを、自らが創造主となって作り上げていきます。プロンプトを入力し、いいデザインが表示されれば、ARで試着するかもしれませんし、試着画像の生成をAIにお願いすれば、3Dモデルを元に試着画像を生成してくれるでしょう。

ひょっとするとチャットのUI画面だけで足りてしまうかもしれません。究極にシンプルなUIですね。

 

 

3Dモデルなら価格も調整可能

例えば、表示されたデザインが気に入ったのだけど、金額が予算より高い。18Kでどうしても作りたい。そういう場合は、もう少し安くしたい、とプロンプトを入力します。

そうすると、全体的にデザインを華奢にするなどして、ジュエリーの体積を減らし、金属使用量を削減して料金を下げることが可能です。予算に合わないから違うデザインを選ぶのではなく、好きなデザインを元に、予算に合う形にアレンジすることができるのです。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

Generative AIと3Dプリンターの未来について、こういうことがやりたい!ということを書きました。未来の話のように聞こえますが、意外とすぐにできそうな感じを受けています。

全てがオリジナルで、全てがスマート。シンプルで新しくストレスがない。それでいて最高に楽しい買い物体験。

AIと3Dプリンターの組み合わせで、実現できる日もそう遠くはありません。

 

AIにリングのデザインを描かせてみた結果 Stable Diffusion 使い方

 

ジュエリーを貴金属で直接3Dプリント。ジュエリーにおける金属3Dプリンターの活用について