カスタマイズ要素を組み込んだジュエリーやアクセサリーの製造で3Dプリンタが活用されるケースが増えてきております。
Technavioの市場調査によると、2025年までに3Dプリントジュエリーの市場規模は約25億ドルにまで成長すると予測されており、3Dプリンターは今後ますます導入が進むことが見込まれています。(CAGRは22.14%)
今回はEncodeRingがどのように3Dプリンタを活用しているのかをご紹介させていただき、3Dプリンタの有効性とソフトウェアと連携することで見えてくる新しい可能性について書いてければと存じます。
声の形で形が変わる、全てオーダーメイドのアクセサリー
EncodeRingは人の声や音といった波形の形でデザインするオーダーメイドのアクセサリー制作サービスです。サイトで録音することでデザインをその場で確認することができ、画面上でカスタマイズしながらデザインが楽しめる体験を提供しています。
声のパターンはそれぞれのため、一つとして同じデザインは生まれません。そのため、全て異なるデザインを形にする必要が出てきます。そこで3Dプリンタの登場です。
3Dプリンターで原型を制作
アクセサリーはロストワックス法と呼ばれる方法で製造されるのですが、その最初の工程で必要になるのが”原型”と呼ばれるもので、ワックス樹脂で作られる商品のダミーのような物となります。
最終的に作られる商品はこの原型と同じ形になるため、原型作りはとても大切な工程になるのです。
EncodeRingでは原型製作に3Dプリンターを活用しています。
3Dプリンターのメリット
3Dプリンタを活用するメリットは以下の通りです。
- カスタマイズされた原型を一気に複数作成することができる
- 手で原型を作成するより圧倒的にスピードが早い
- 原型制作のコストが抑えられる
同じ形を量産するケースと違い、全てのデザインが異なるケースにおいては、原型を一つ一つ制作しなければなりません。当然全て形の異なる原型を手作業で制作していては、長い時間とコストをかける必要があり、その時間とコストは納期の遅れや商品価格の高騰に繋がってしまいます。
短納期と低コスト製造を実現
3Dプリンタを活用すれば全ての原型の形が異なっていても、同時に制作することが可能なためコストを大幅に削減することができ、製造時間も短縮することが可能になり、受注生産の一点ものであってもスピード感を持ったお届けと低価格を実現することができています。
3Dデータ制作の自動生成
3Dプリンタで原型を制作する際には設計情報を持った3Dデータが必要となります。この3Dデータについても、本来であればCADなどの3次元ソフトを使用して手作業等で制作するのですが、手作業が発生してしまうと、納期とコストに問題が起きます。
3Dプリンタのメリットを最大限活用するためには、この3Dデータ制作を自動化する必要がありました。
EncodeRingでは録音された音声波形から3Dデータを自動で生成するアプリケーションを開発し、それをウェブサイトで動かすことにより、3Dデータを自動生成する仕組みを構築しています。
これにより3Dデータ制作にかかる時間は0秒に短縮され、3Dプリンタに即時に導入することが可能となりました。
3Dデータの自動生成と3Dプリンタの組み合わせが求められる
3Dプリンタの性能が進化し、コストが低下し、スピードが上がったとしても3Dデータの制作がどうしてもネックとなってしまいます。カスタマイズ製品を簡単に製造するためには3Dデータの自動生成が不可欠となります。
今後はブラウザで簡単にデザインできるセミカスタマイズツール等の開発により、STLデータの自動生成ができるアプリケーションや、Stable DiffusionのようなAIが3Dデータを自動生成するツールも登場してくることでしょう。
自動生成ツールと3Dプリンタを組み合わせることで、カスタマイズされた製品をスピーディに安価に製造することが可能となるでしょう。
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