ジュエリーのワックス原型を3Dプリンターで制作するメリットについて記事を書きましたが、今回はダイレクトキャストが可能なキャスタブルレジンで原型を制作する際の注意点について書いていこうと思います。

ジュエリー制作における3Dプリンター導入のメリットが大きすぎた

 

ダイレクトキャスト(鋳造)とは

ダイレクトキャスト(鋳造)とは、その名の通り、3Dプリントしたワックス原型をそのままツリーにして鋳造することです。

通常であれば原型を作成してゴム型を作成。ゴム型からワックス樹脂を制作して通常するのですが、ダイレクトキャストではこの工程が省けるため、生産のスピードアップとコスト削減が実現できます。

ダイレクトキャストができる光造形3Dプリンター用のレジンのことを「キャスタブルレジン」というのですが、このキャスタブルレジンを使用したからといって、必ずしも鋳造が上手くいくわけではありません。

今回はそんなキャスタブルレジンを使って3Dプリントした原型を鋳造する際の注意点を書いていきます。

 

鋳造失敗を防ぐために

通常のワックスで制作した原型と違い、キャスタブルレジンのダイレクトキャストはまだまだ新しい領域であるため、実施したことがない鋳造屋さんもたくさんあります。そのため、鋳造のコンディションがうまくチューニングできず、結果的に鋳造が失敗してしまったり、形が崩れてしまう場合があります。

キャスタブルレジンで鋳造する場合に注意しておいた方がいい点をまとめます。

 

1.レジンについて伝える

まずキャスタブルレジンについてですが、いろんなメーカーさんが開発して発売しておりますので、全て成分やコンディションが違います。鋳造屋さんにワックスを持ち込む際は、持ち込むワックスのメーカーや品番、含まれている成分などを伝えるといいでしょう。

 

2.キャスタブルレジンに対応している鋳造屋さんを見つける

自分が使用しているワックスに対応している鋳造屋さんを見つけてしまうのも手です。同じワックスを使用しているお客様を持っている場合には、そのコンディションで鋳造すればいいので失敗のリスクが低下します。

ネット鋳造サービスのCASTYではダイレクトキャスト可能な原型から鋳造が行える環境を整えておりますので、こうした環境が整ったサービスを利用するのも一つの手です。

 

3.ワックスのサポート除去に気を付ける

3Dプリンターで造形する際に必ずサポート材をつけますが、このサポート材の除去に気を付けることが重要です。サポート材を切る際には、あまり根っこから切りすぎないようにすることをお勧めします。

サポートを切りすぎてしまうと、根っこ部分に穴が開いてしまうことがあります。この場合、穴が空いた部分はそのまま凹みとなってキャストされてしまうため、それを埋めるためにはろう付けなどの手間が発生します。

サポート材は可能な限り切りすぎないようにすることをお勧めします。

 

 

おすすめの光造形3Dプリンター

たくさんのシェアをとっている3Dプリンターであれば、対応している鋳造屋さんも多くなります。

Formlabsが開発する光造形3Dプリンターは、ジュエリーの領域に力を入れているだけあって、比較的多くの鋳造屋さんが対応していると思います。(肌感のため間違っていたらすみません)

レーザーを一点ずつ照射する方式を採用しているため、造形速度こそ早くはありませんが精度はかなり高く表面も綺麗に仕上がります。

https://www.form2.shop/

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

3Dプリンターでワックス原型が作れるのは大変メリットも大きいのですが、その分まだまだ難しいところも多く、キャストが失敗して製品にできないケースも発生しがちです。こうした事態を防ぐために、鋳造屋さんがキャスタブルレジンに対応しているかどうか確認したり、使用するレジンの成分を事前に伝えてるなどしておきましょう。

今回は光造形3Dプリンターを用いてワックス原型を作成する際の注意点について書かせていただきました。

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